歯周病治療について
歯肉から出血したり、歯肉が腫れたりしたことはありませんか？歯周病は初期では自覚症状がほとんどないため、おかしいと思った時には炎症が進行してしまっていることがあります。受診が遅くなると治療に時間がかかり、最悪の場合歯を失う原因にもなります。
気になることがあれば、自己判断をしないで、検診されることをお勧めします。
歯周病と全身疾患とのかかわり
歯周病が恐ろしいのは、歯を失うことだけではありません。最近になって歯周病の原因菌は、様々な全身の病気を招く一因であることがわかってきました。歯周病菌は、気道や血流を介して全身をめぐり歯ぐきだけでなく別の所で病気を引き起こしているのです。 以下のように歯周病の人は歯周病ではない人に比べて、疾患にかかる確率が高くなる傾向にあります。
また、喫煙者は非喫煙者の4倍の確率で歯周病にかかりやすいと研究結果で報告されています。
歯周病が体に及ぼす影響
- 脳卒中（2倍）
- 低体重児出産（4～7倍）
- 肺炎などの慢性呼吸器疾患（2～5倍）
- 糖尿病（2～4倍）
- 心筋梗塞などの冠動脈疾患（2倍）
歯周病の進行度
-
Flow01
歯肉炎
歯垢（プラーク）に含まれる歯周病菌が毒素を放出し、歯ぐきに炎症を引き起こすと赤く腫れます。痛みはほとんどありませんが、ブラッシングの際に歯ぐきから血が出ることがあります。
-
Flow02
軽度歯周炎
歯肉炎が軽度歯周炎に進行すると、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットが深くなります。細菌によって歯を支える歯槽骨が少しずつ失われていきます。
-
Flow03
中等度歯周炎
歯槽骨や歯根膜にも悪影響を及ぼし、はっきりとした自覚症状のある状態です。歯がグラグラと動くようになったり、歯肉退縮によって歯が長く見えるようになったりすることがあります。
-
Flow04
重度歯周炎
歯の根の深い部分にまで汚れが付着し、歯周ポケットも非常に深い状態です。歯槽骨もほとんど破壊されており、歯のグラつきも悪化し噛むことや食事もままならなくなります。また、溜まった膿が原因で強い口臭が出たり、歯が自然に抜け落ちたりする恐れもあります。
当院の歯周病治療
当院は、歯周病治療を行う前にレントゲン写真の撮影や歯周ポケットの検査など、いくつかの検査を行います。歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度を計る目安となります。歯周ポケットが深くならないよう、当院でケアしていきましょう。
SPTと歯周病重症化予防歯科
（P重防）が保険適用に
なりました
SPTとは？
SPTとは、治療によって症状が安定した歯周病組織を維持するために行う、定期的な歯周病治療のことです。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、定期検診やメインテナンス治療の考え方を一歩進めた、ご自身の歯を多く残すことにつながる重要かつ画期的な歯周病治療です。従来の定期検診やメインテナンスは、歯周組織の症状が安定したかを確認するために行われる、3～6ヶ月ごとの状態チェックや健康管理に過ぎません。そのため、再治療は症状が悪化してから行われるという特徴がありました。一方SPTでは1～2ヶ月ごとに定期的な歯周組織の状態をチェックしながら、歯科医師による咬合調整や歯科衛生士によるポケット内の洗浄、スケーリングやルートプレーニングなどが行われます。そのため、症状が悪化して再治療が必要になる前に先回りして治療を行うことができ、安定した歯周組織の状態を長時間維持することが可能です。このSPTは、近年に保険適用となりました。SPTを活用して定期的な検診頻度を多くし、歯周病の早期発見、早期治療に努めましょう。
歯周病重症化予防歯科（P重防）とは？
生活習慣病の一種である歯周病を予防するには、患者さんが常日頃から意識を高めることが重要です。2020年4月の診療報酬改定によって新設された歯周病重症化予防歯科は、今まで以上に「治す」から「守る」といった予防の考えを後押ししてくれました。P重防とも呼ばれる歯周病重症化予防歯科とは、「歯周病重症化を予防するための継続処置が必要なケース」「治療している部分の歯周ポケットの深さが4mm未満」「月1回の算定かつ2ヶ月間を開ける」などの条件のもとで、歯周病の予防歯科が保険適用になる治療のことです。従来、歯周病重症化予防のメインテナンスは保険適用外でしたが、2020年4月の改訂で保険適用になったことで、歯周病の予防歯科がより身近になりました。歯周ポケットが4mm以下の初期段階の患者さんでも、保険内のメインテナンスが可能です。
