口腔機能低下症について
オーラルフレイルとも呼ばれる口腔機能低下症とは、咀嚼、嚥下、構音、唾液、感覚など口腔内の機能が低下する症状です。主な原因は加齢ですが、疾患や障害など様々な要因も考えられます。口腔機能低下症を放置すると、食事をすることが難しくなり、お口だけでなく全身の筋力が衰えます。特に高齢の方は、要介護状態につながりやすい症状です。
こんな症状はありませんか?
- 食べ物が口に残る
- 口の中がよく乾く
- 固い物が食べにくい
- 食べこぼしが増えた
- 食事の時間が長い
- しゃべりづらい
- 飲食時にむせる
- 口の中が汚れてみえる
- 薬が飲み込みにくい
「いきいき歯つらつ健診」
(今年度76歳・81歳になる方へのお知らせ)
宮崎県歯科医師会では、宮崎県後期高齢者医療広域連合からの委託を受け、「いきいき歯つらつ健診(後期高齢者歯科検診)」を実施しています。今年度76歳・81 歳になる対象者の方には、宮崎県後期高齢者医療広域連合より「受診券」が届いておりますので、この機会に受診をご検討ください。
※受診できる期間は、令和4年12月までとなります。
※詳細は、宮崎県後期高齢者医療広域連合のホームページよりご確認ください。
診断方法について
口腔機能低下症は、以下の7つの症状のうち3つ以上当てはまる場合に該当します。
口腔衛生状態不良の評価
口腔衛生状態は、9分割した舌表面上の舌苔の付着程度により評価します。舌の汚れは、セルフケア不足や舌機能の顕著な低下が考えられます。当院では、それに対する舌清掃のアドバイスも行います。
口腔乾燥の評価
口腔乾燥は、唾液量の計測によって評価します。高齢の方はドライマウスと呼ばれる口腔乾燥の症状が出やすく、回復も簡単ではないため、唾液腺のマッサージや口腔体操をおすすめしています。
舌口唇運動機能低下の評価
舌口唇運動機能低下は、舌と口唇の巧緻性および運動速度で評価します。「パッ」「タッ」「カッ」のそれぞれの音節を10秒でできるだけ早く発音させ、1秒当たりの発音回数が6回未満であれば運動機能低下と判断します。
咬合力低下の評価
咬合力低下は、現在生えている歯の本数により評価します。残根と動揺度3の歯を除いた歯の本数が20本未満の場合、咬合力低下状態と判断します。
低舌圧の評価
低舌圧は、舌圧測定により評価します。舌圧測定器のプローブを舌で硬口蓋に全力で数秒間押し付け、最大舌圧を計測し、最大舌圧が30kPa未満の場合、低舌圧と評価します。
咀嚼機能低下の評価
咀嚼機能低下は、咀嚼能力検査システムを使って評価します。2gのグミゼリーを20秒間自由咀嚼していただいた後10mlの水で含嗽させ、濾過用メッシュ内に吐き出していただきます。メッシュを通過した溶液中に溶出されたグルコース濃度を、咀嚼能力検査システムで測定します。グルコース濃度が100mg/dL未満の場合、咀嚼機能低下と評価します。
嚥下機能低下の検査
嚥下機能低下は、質問票に記入していただいた内容によって評価します。
口腔機能低下症は早期発見・早期予防を
心掛けましょう
口腔機能低下症は、早期に発見し適切な処置をすることで予防することが可能です。それぞれの器具を使って現在の状況を数値化することで、口腔環境の衰えを予防し、寝たきりなどの要介護状態になるリスクを防ぐことができます。健康寿命を伸ばして、より良い老後生活を楽しみましょう!